岐阜旅行1日目

久しぶりに夫と土日休みが合ったので、思い立って岐阜旅行。私は関東近郊の温泉でも…と思っていたのだが、夫のリクエストで養老天命反転地を訪ねることになったのだ。
8時すぎの新幹線で名古屋まで行き、JR東海道線で大垣駅まで。それから、養老鉄道養老駅まで行く。養老鉄道は白い切符で有人改札、久しぶりだなぁ。
電車の中で観光マップを見る。「池ノ上みそぎ祭り」という、ふんどしの男達が長良川に入る奇祭の開催が今日であることを知る。しかも泊まる宿のエリアである。見に行くしかないでしょ。こんな偶然めったにない。
養老駅に着くと、まずはひょうたんのお出迎え。駅構内にはひょうたんがぶらさがり、改札を出るとひょうたんのモニュメントが。

孝行息子が酒が湧いてるのを見つけて老父のために汲んで帰ったという養老伝説の地。夫は「老父に酒を飲ませるのは本当に孝行と言えるのだろうか」ということを気にしていた。
駅からゆるやかに続く坂道を登る。早くも息があがりそう。「子どもの国」を通り過ぎて、養老天命反転地の入場口に辿り着いた。荷物をロッカーに入れて、いざ。

養老天命反転地


まず最初に向かったのは、「極限で似るものの家」。上にも下にも家具があり、壁で分断されている。

垂直も水平もなく、ドアが長くて斜めだったり、とにかく不思議な空間なのだが、その不思議さを写真におさめることができない。
次に「死なない為の道」を歩く。この写真が今ケータイの待ち受けです。

ここでも「あっ」と驚いたのだが、これから行く人のために書かないでおこう。ともあれ、我々の天命は反転して死なない体になったはずです。
楕円形のフィールドもいろいろあって面白い。

斜めになってるソファに腰掛けてみたら、変な方向から重力を感じてすごく怖かった。
一番印象に残ったのは「切り閉じの間」という真っ暗闇の迷路。全く前が見えないので、手探りで進むしかない。完全な暗闇って実は日常の中では出会わないんだなと思った。

養老の滝

養老天命反転地を出た後、滝を見に山道を歩く。川沿いは紅葉が真っ赤になっていて、落ちた葉が地面も赤く染めている。(右端でおどけているのがうちの夫です。初公開)

途中の土産物屋兼食事処で豚うどんを食べて遅い昼食。再び歩く。どんどん山道に。ところどころに喫煙所があって、カップルが煙草を吸っていたりした。
そして滝に到着、写真撮影。

滝壺は案外浅かった。ひょうたん買ってきて水を汲めば良かったなぁ。なぜ気づかなんだろ。
今度は下り坂をどんどん下る。途中で「下で水を汲む方がみえるので、水を汚さないでください」という看板があった。このへんだと「いる」の尊敬語は「みえる」がデフォルト?

養老から岐阜へ

養老駅に着くとあたりはもう薄暗くなってきている。

夕闇に揺れるひょうたん。
再び大垣経由で岐阜駅まで戻ったころにはもう真っ暗。駅を出ると、ド派手なクリスマス・イルミネーションが大階段を占めている。すげー。LEDだから電球よりは消費電力も抑えられてるね。よかったね。
ふと目を上げると、金色に輝く織田信長公が。

織田信長って岐阜だったんだっけか。というぐらいの甘い認識でいたが、この後、岐阜市民の信長愛を随所で感じることと相成った。
さて、駅からタクシーで本日の宿「鵜匠の家 すぎ山」へ。長良川岐阜城が窓から望めるロケーションが売りの宿。(この眺望は実際すばらしかった)運転手のおっちゃんに「みそぎ祭りやるのってどのへんですか」と聞くと、今日だということをご存じない。あんまり地元ではメジャーじゃないのか?宿よりは大分下流なので歩くのは無理じゃないか、ということだけ聞く。
18時ごろ宿にチェックイン。まずは温泉につかって、19時から部屋で夕食。懐石料理。うまかったー。しかも仲居さんがかわいくて感じがよい。「隣のお客様が宴会してみえるので」とか言ってて、やっぱり「みえる」がデフォルトっぽいな。再びみそぎ祭りのことを聞いてみると、仲居さんもよく知らないらしい。「調べて来ます」と言って、地図と時間をプリントアウトしてくれた。22時から最後のみそぎがある!これを見に行く。

池ノ上みそぎ祭り

21時過ぎに宿を出て、タクシーを呼ぶ。今度の運転手のおねーさんも、やはり今日みそぎ祭りがあることを知らない。場所もよくわからないらしいので、プリントアウトしてもらった地図を見せる。うーん、観光案内に載ってるぐらいなんだから、地元の人はみんな知ってるもんだと思ってたけど、そうでもないんだな。
現場近くまで来て河川敷を見ると、たき火をしてのぼりを立てているところがある。ここだ。車を降りる。しかしあたりには人気がない。まだ時間があるからだろうか。駅から乗ったタクシーのおっちゃんは屋台が出るようなことを言っていたので、参道っぽい道はないかなと探すと、はたして住宅街の間に屋台の並ぶ道を発見。ここを歩き、祭りの主体となる葛懸神社にたどり着いた。
神社の境内には老若男女たくさんの人が集まっている。だが見るからに町内会のお祭りという感じで、観光客らしい人は見えない。かなりマニアックな祭りに紛れ込んでしまったような気がするが、商業化されていない感じはむしろいい。
神社の縁起などを眺めてしばらくぶらぶらしていると、ようやく22時になり、わーっという声がして、ふんどし姿の男達が出てきた。

ワッショイワッショイと叫びながら押し合いへし合い。境内で祢宜(神男)と思われる赤いふんどしの人を胴上げした後、またワッショイワッショイと叫び押し合いながら長良川に向かった。国道を横切る時は、警官が車を止める。

川にたどりつくと、まず赤いふんどしの人を含む数名が水に入り、しめ縄の手前で肩まで浸かって合掌している様子。しばらくして彼らが上がると、白いふんどしの一般人たちがワアーっとやってきてバシャバシャとやり、その後またぞろぞろ、ワッショイワッショイと神社に戻っていった。

境内に戻るともう一度祢宜の胴上げがあり、全員で本殿に向かって柏手を打って終わり。
みそぎを見られてよかった。それにしてもこういう祭りが今まで残っているっていうのは面白いものだ。裸祭りは新規参入が難しそうだ、という話をしながら宿に帰った。町内会で「真冬に裸で水に入る祭りをしましょう」と提案して他の人を説得するのはものすごく大変そうである。