わかったつもり

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)
西林 克彦

光文社 2005-09-20
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まさか小学校二年生の教科書を読んで「わからない」なんてことはない。でも「わかったつもり」にはなっているのだ、これが。
「わからない」というのは文章の部分相互の関連づけができていない状態。
「わかったつもり」は「わからない」ところがない安定状態、別の言い方をすれば停滞状態。
もっと緊密な関連づけができるのに、「わかったつもり」から一歩先に進むのはとても難しい。だって、自分では「わかっている」と思っているから。
この「わからないところが特にないわかったつもり」の状態から「もっとよくわかった」状態へのステップを、本書では小学校の教科書を使って体験させてくれる。
二年生の教科書に載っている物語文や、六年生の教科書に載っている説明文。実際に読んでいくと、自分がいかに読んでるつもりで読めていないかを突き付けられて、はっきりいって衝撃である。でもその衝撃は不快なものではなくて、次はもっとちゃんと読みたい深くわかりたいと前のめりにさせるものだ。
こういう「わかったつもりだったけど、わかってなかった!」を体験させるのが国語の授業の役目なのかも知れない。日本語の母語話者なら現代文なんて読めばわかるものだけど、だからこそわかったつもりでいることに自分では気付けなくて、先に進めないものだから。
久しぶりに楽しい読書だった。★★★★