教育の方法

教育の方法 (放送大学叢書)教育の方法 (放送大学叢書)
佐藤 学

左右社 2010-07-30
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授業の歴史やデザイン、評価についてまとめた教科書。佐藤学をちゃんと読んだことがないので読もうと思って買ったのだが、前半は概説的な話で、佐藤学の考え方が前面に出てくるのは後半だと思う(たぶん)。
後半は、気になった箇所がいくつかあったのでメモ。
■カリキュラムの話。
近年、「階段型」カリキュラム=「プログラム型」単元から「登山型」カリキュラム=「プロジェクト型」単元の様式へ移行しつつある。プログラム型単元は「目標・達成・評価」の単位から成り、プロジェクト型は「主題・探究・表現」の単位から成る、とあった(p.157)。
流れとして登山型=プロジェクト型に移行しているというのは実感としてもそうなんだろうと思うのだが、主題・探究・表現という単位の構成でいくと、プロジェクトの評価はなされないのだろうか。
■能力別編成は上位の一部生徒を除いて有効ではなく学力格差を拡大するというジェニー・オークスの見解と、クローンバックの適正処遇交互作用について(p.160、p.161)。
教室の中があまり均質ではかえってよくないと思うが、15年間アメリカに住んでいた生徒と15年間日本で育った生徒を英語の授業・国語の授業で同じクラスにするのがよいのかと考えたら疑問。協同学習はどの程度の学力差/多様性に対応できるのか。学力差とレベル分けについて最適ポイントがあるか。
p.176〜p.178あたりの「反省的実践家」としての教師、「同僚性」の構築といった話も面白い。教師が専門性をどのように獲得していけるか。それを社会が承認し信頼してくれるようでないと、教育はなかなかうまくいくものではないと思う。★★★。