当事者主権
- 作者: 中西正司,上野千鶴子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/10/22
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 83回
- この商品を含むブログ (81件) を見る
この本でも「障害が障害であるかどうかは社会が決める」と述べられているが、それは実際にそうだと思う。思い出すのは斉藤くるみ先生が「少数言語としての手話」の講義で話された「私たちは翼のある人間をうらやんだり、翼のない自分がみじめだと思うとは限らない。それは聴者とろう者においても同じだ」というたとえ話。とてもわかりやすくて印象に残っている。この例でさらに想像してみよう。
翼のある人間がマジョリティーであるような社会では、高いビルにも階段は不要だからついていないかもしれない。そんな社会で翼のない私たちは間違いなく障害者である。その時に私たちが望むのは「なんて可哀想な人だ」と慰められたり助けてもらったりすることではなく、建物に階段を設置して自分の力で上の階まで行けるようになることではないだろうか。
「社会的弱者」に必要なのは上からの援助などではなく、「弱者」でなくなるような社会なんだな。