How to Write a Lot

How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic WritingHow to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing
Paul J. Silvia

Amer Psychological Assn 2007-01-15
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アメリカの心理学者が書いた、「いかに生産的に書くか」というアカデミック向けのハウツー本。
まだ読んでいる途中ですが、なかなか面白いのでツイッターでつぶやいたメモを以下に転載します。

Chapter 2, Specious Barriers to Writing a Lot

How to Write a Lot (by Paul J. Silvia) を読み始めた。アメリカの心理学者が「もっとたくさん書くにはどうしたらいいか」という本。基本的に想定してるのはアカデミックライティングなんだが、これなかなか面白い。
まず書けない理由(言い訳)をつぶしていく。
真っ先にやっつけられるのが「時間がないから」という言い訳。時間を「探す」限りは絶対に書けない。書くために「配分」するしかない。スケジュールに入れて書け、そんだけだと。スケジュールに入れた「書く時間」は死守すること。会議や面会で邪魔されそうになったら断れ。人の「書く時間」を尊重できんやつはどうせ「書けない」やつだ。断れないなら嘘ついて切り抜けろ。とのことw
言い訳2「もっと読んで/調べてからでないと」→それも書く時間の中でやりなさい。
言い訳3「新しいパソコン/プリンタ/いい机/書く場所があれば…」→そんなもんいらん。とサクサク斬っていきます。
言い訳4「その気になってから書いた方が」の箇所が面白かった。実験では、書きたくなったら書くグループより書くことを義務づけたグループの方が書いた量もアイディアが浮かぶ頻度も高かったらしい。実際に詩人や小説家も規則的に書いている。「インスピレーションを待つ」のはナンセンス。

Chapter 3, Motivational Tools

引き続き How to Write a Lot を読んでる。軽妙な語り口で構文も難しくないんだけど、単語がやたら難しくて辞書がないと読めない。これが心理学者のシャレなのか。
三章「Motivational Tools」に書いてあったことをメモ。
(ここまでのあらすじ)論文とかたくさん書きたいんだったらあれこれ言い訳してないでスケジュールに組み込んで定期的に書く時間取るのが一番だよ。スケジュールに入れることができたら、次のことをやってみよう。
1)ゴール設定、2)優先順位づけ、3)進捗のモニター
1)ゴール設定は、まず自分が書かなきゃいけない/書きたいプロジェクトを書き出してみる。それを具体的なゴールに落とし込む。例えば「レポートを書く」だと抽象的すぎ。「少なくとも200ワード」「最初の三段落」ぐらいまで具体化する。
2)ゴールのリストができたら優先順位をつける。目安としては、締切があるもの、学位や単位や評価に関わるものは高め。あと校正段階のものを優先。すぐに終わるし、次の段階に回せるから。特に共著のものは自分のところで止めておかないことが信用ゲットの早道。書き始めたら
3)進捗のモニター、これがモチベーション維持に有効。エクセルでも何でもいいので、表計算ソフトに日付、取り組んだプロジェクト、書いた字数、ゴール達成の有無を記録する。記録=セルフモニタリングはそれだけで行動を望ましい方向に変える働きがあるSelf monitoring が good behavior を招くというのはレコーディングダイエットがうまくいくのと一緒だね。心理学者に言われると説得力あるぜw
というわけで、せっかく新年ですし皆さん自分のライティング記録ファイルを作ったらいいと思いますよ。

Chapter 4, Starting Your Own Agraphia Group

四章「Starting Your Own Agraphia Group」を読んだ。Agraphia って辞書引くと「書字不能症、失書症」とのことなので、「書けない会」って感じかなあ?これは書くプロジェクトやアイデアやゴールについて話をしてお互いをサポートするグループのこと。
Agraphia Group がうまくいくためのポイントは五つ。
1)具体的で短期的なゴール設定をすること。会合は毎週から隔週(これ以上開くとゴールが抽象的になってダメ)、次回までに達成するゴールを各メンバーが設定→フォルダに保存→次の会で前回のゴール確認→次のゴール設定の流れ。
2)あくまでもライティングのゴールにこだわること。書くことに関係ない仕事の話(授業のこととか)はしない。ゴールの確認&設定なら一人数分で終わる。時間が余ったら書くことについて話すか、書くことに関する本の読書会をするのもあり。
3)社会的な報酬で良い行動を強化する。ゴール達成、うまくいったメンバーには賞賛、ご褒美。毎回ゴール達成ができないメンバーがいたらちょっとプレッシャーをかける。スケジュールどうなってる?と突っ込んであげると吉。大体予定通りに書けてない。
4)教員と学生は別のグループにすること。そうしないといろいろ気兼ねしちゃうからね。目指してるものも違うんだし。
5)はオマケだけど、コーヒーや紅茶を飲みながらやるのがいいよ!
最後に、グループを作るのがいいっていうのは社会心理学者も行動心理学者も臨床心理学者も認知心理学者も発達心理学者も、それぞれの立場から認めると思うよ。と結んで終わり。