困ってるひと

困ってるひと困ってるひと
大野 更紗

ポプラ社 2011-06-16
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ビルマ難民の支援にハマっていたビルマ女子が、大学院進学と同時に世にも珍しい難病を発症し、難病女子としての生活が始まる。検査のため麻酔なしで肉を切り取られたり、腫れたおしりが破裂して大量の「元おしり」が流出したり、ステロイドの副作用で死にかけたり、社会保障の申請をしようにもあんまりな量の書類に埋もれかけたり、主治医に説教されたり、反乱を企てたり、こっそり院内デートをしたり…。
軽妙な筆致でユーモアたっぷりに綴られる状況は、しかしあまりにも苛酷。苛酷すぎて想像がつかない。自分の想像力のなさを思い知らされた。そんな状況で、個人の絆やつながりに頼ってもいずれ破綻する。じゃあどうすればいいのか。
いま困ってないひともいつ困ったことになるかわからない。困ってるひとも生きていけるようにするには、どういう社会を作るのがいいんだろう。考えるとっかかりになる。
ともあれ笑って泣いてキュンとする、面白い本。ツイッターなどのクチコミで売れている様子。高校生にもおすすめ。