隣のアボリジニ

隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民 (ちくま文庫)隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民 (ちくま文庫)
上橋 菜穂子

筑摩書房 2010-09-08
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〈守り人〉シリーズ、『獣の奏者』の著者の文化人類学者としての仕事。「大自然の民」というイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニ。一緒に生活して関係を作りながら、インタビューを重ね、彼らの声を引き出していく。「気高い大自然の民」あるいは「飲んだくれて暴れるならず者」といったステレオタイプにはまらないよう、ひとりひとりの歴史と生活を丁寧に描こうとしている。混血を繰り返し都市の生活に順応しながらも、白人とは違った親戚づきあいや世界観を持っている彼ら。差別を受けてきた歴史、それは悲惨そのものであるのだが、分離や保護といった政策には功罪両面があることも否めない。現実はこんなにも曖昧で複雑だ。