むかしばなし

むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがおりましたが、ふたりはべつにふうふでもなんでもありませんでした。
いつからどういうけいいでくらしはじめたのだったか、なにぶんむかしのことでわすれてしまったのですが、いえのしごとはぶんたんしています。
あるひ、おばあさんがかわでせんたくをしていると、おおきなももがながれてきました。もちろんかわかみのほうからです。おばあさんはももがだいすきだったので、ひとりじめにしようとそのばでももをむきはじめました。
そしてひとくちかじると、なかからげんきなおとこのこがでてきたのです。
おばあさんはびっくりぎょうてん。のこったももをたいらげたあと、おとこのこをいえにつれてかえることにしました。
いっぽう、おじいさんはたきぎをあつめにやまにきていました。
なんとしたことか、ねもとがきんいろにひかるたけがいっぽんあるのです。おじいさんはたまげました。
そしてどうじに、これでへそくりができたとこころのなかでよろこびました。
おうごんがはいっているにちがいない。おじいさんはいきようようと、なたをかまえてたけをきりました。
たけのなかにはおうごんはありませんでした。かわりにちいさなかわいらしいおんなのこがすわっていました。
おじいさんはがっかりしましたが、おんなのこがかわいらしいのでうれしいきもしました。だいじにかかえていえにつれてかえりました。
おじいさんとおばあさんは、いえにかえっておどろきました。いきなりふたりのこどもができたのですから。
そしてふたりはとうとつにおもいだしました。じぶんたちもまた、このようにしてこのいえにつれてこられたことを。
おじいさんとおばあさんは、おとこのことおんなのこを、たいせつにそだてました。じぶんたちのこどものように、あるいはじぶんたちじしんのように。
おとこのことおんなのこはおとなになってやがておじいさんとおばあさんになりました。
おとこのこだったおじいさんはやまへ、おんなのこだったおばあさんはかわへ、きょうもでかけていきます。
おしまい。
今朝、電車の中で作ったお話。そのうち絵本にでもしたいな。