走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹は昔好きで結構読んでいたのだけど、他人に興味のない主人公が無闇にモテてなんとなくセックスする、という展開が鼻につき始めてからは、あまり入り込んで読めなくなってしまった。かといって嫌いなわけじゃないし上手いと思うんだけど、熱心なハルキファンと話す時はどことなく居心地が悪いという、言ってみれば昔つきあってたけど今は連絡とってない元彼氏、のような存在なのだ。ちなみにこういう私にとっての「元彼」的な書き手というのは評論分野でも何人かいて、そういう人が春樹論を書いてたりするのもまた面白い。
閑話休題。これは文庫になっていたのと村上春樹に私と同じ感じで距離を取っている(と思われる)職場の先輩が面白かったと言うので買って読んだ。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
村上 春樹

文藝春秋 2010-06-10
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本当にこの人はストイックな長距離ランナータイプの人なんだなぁというのがよくわかって、とても面白い。確かにこういう構えでないと長編小説は書けないのかもしれない。私とは全然タイプが違うわ、と思いつつも、ちょっと走ってみようかな、という気になったりして。奥さんの地味な存在感も良かった。★★★★。