どんとこい、貧困！

どんとこい、貧困! (よりみちパン!セ) 100%ORANGE 理論社 2009-06-25 売り上げランキング : 5852 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools

湯浅誠さんの子ども向け反貧困本。「努力しないのが悪いんじゃない？」「甘やかすのは本人のためにならないんじゃないの？」「死ぬ気になればなんでもできるんじゃないの？」…といった素朴な「自己責任論」に対して、一つ一つ反論し、問題を構造的に見ていくこと（いす取りゲームで、いすに座れなかった人ではなく、いすの数が足りているかどうかに注目すること）の重要性を説く。
立場の弱い労働者が「選り好みをしないで」働くことによって労働市場全体の労働条件が下がっていくとか、貧困を放置して追いつめられる人が増えることによって社会全体のコストが高くなるとかいう指摘は、目からウロコ。今困っていない人が利己的に考えたとしても、貧困は何とかした方がいいわけだ。
「もっと人にやさしい住みやすい社会を作ろうよ」という著者の熱意が伝わってきて、それでいて感情的ではなく論理的なので説得力がある。これはすごい。コラムもポイントを押さえていて勉強になる。大人も子どもも全員読んだ方が良いです。★★★★★。