死刑執行人サンソン

死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)
安達 正勝

集英社 2003-12
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法の正義を実行する立場でありながら人々からは差別され忌避される死刑執行人。敬虔なカトリック信者で国王を敬愛していたにもかかわらずその首を刎ねることになったサンソン家四代目当主のシャルル−アンリ。フランス革命の激動期、ギロチンの発明と恐怖政治を経て、自らの手記で死刑制度廃止を訴えるサンソン。
物語風の語り口で、学問的な厳密さは判断できないが、手記をもとにしているわけだからエピソードにも根拠はあるのだろう。サンソンの心情によりそう著者のまなざしはやさしい。初めて知る事実も多く、面白くて一気に読んでしまった。
死刑制度はひとりひとりが執行人の手を介して人を処刑することなんだよなぁ…などと考えさせられた。裁判員制度で私たちが死刑判決を下すこともありえることを思えばなおさらだ。
当時の処刑の方法や制度などに興味が出てきて、今は阿部謹也の『刑吏の社会史』を読んでいる。こっちは中世ドイツを中心にした話。これもややグロテスクな箇所もあるが、面白い。