怖い絵

怖い絵怖い絵
中野京子

朝日出版社 2007-07-18
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老い、病、死。人の心に棲む悪。西洋絵画の中からいろんな意味で「怖い」絵を集めて、その作者と背景、「なぜ怖いか」を読み解いていく。
たまに文体が妙に詩的・ブンガク的になるのが気になるといえば気になるが、カラーの絵を「ほほう、ここにこんな意味が」と見ていくのはとても面白い。
一番面白かったのはドガの踊り子の絵かな。当時バレエという芸術の地位は低く、劇場は娼館、踊り子は高級娼婦であったこと、画面の中でパトロンらしき黒服の男がのぞいていることなど、知ることで見え方が変わることを実感できた。
今まで少なくない絵画を目にしてきて、いかに多くのものを無知ゆえに見落としてきただろうかと思うと、それが一番「怖い」ような。(しかし一度知ってしまえば知らない時の見方には戻れないので、それもそれで「怖い」)