哲学の誤読

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する!哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する!
入不二 基義

筑摩書房 2007-12
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大学入試に出題された野矢茂樹永井均中島義道大森荘蔵の文章を、哲学的に精読していく。その際、出題者の誤読、問題解説者の誤読、この本の著者の誤読と、本文の筆者の誤読…「誤読」に注目してそこから哲学の輪郭を逆照射しようという試みである。
青本・赤本の解説を「人生論的誤読」と「知識による予断」として批判する第二章が面白い。が、無理もないといっちゃおかしいが、この永井均の文章はほんとに難しいのだ。他の問題は後で本文を読んで「こんな深く(クリアに)読めなかったなー」と思ったものの、一応解答をまとめることが出来たのだが、永井均の問題(東大2002年第4問)はまともに解答が書けなくてちょっとショックだった。なんか……勉強しよ。
一方、中島義道の早稲田の問題は、本文も読みにくくはないのだけど、なんせ問題が簡単すぎて拍子抜け。ちょっと手抜きしてない?と思うくらいだった。
ともあれ、四人の名前を見ただけでも面白いのは保証つきという感じだけど、加えて入不二さんの「しつこい」読みも楽しめるお買い得の一冊。特に受験生と国語の教員は必読です。
著者は「哲学」に触れる機会として、「現代文」の授業の可能性にも触れていて、触発されるところもあった。実際、自分が受験生だった時には「現代文って哲学だなー。哲学って面白いなー」という実感があったことを覚えている。いろいろやってみたいことはありますねぇ。