働きすぎる若者たち

働きすぎる若者たち―「自分探し」の果てに働きすぎる若者たち―「自分探し」の果てに
阿部 真大

日本放送出版協会 2007-05
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「やりがい」にはまってワーカホリックになるケアワーカー。心優しき働きすぎる若者たちのレポート。バイク便を自ら体験して「搾取される若者たち」を書いた筆者による二冊目の著書だそうだ。
介護の集団ケアからユニットケアへの流れ、それにともなう負担の増加とやりがいの向上。ワーカホリックに陥り、やがてバーンアウトする。長時間労働の割に給料は低いし不安定就労の割合が高い。そこには正規雇用からあぶれた若者がいる一方で経済的に余裕のある主婦層もいるため、一枚岩になって待遇を改善することができない*1
筆者が示す処方箋は、以下のようなものだ。まず集団ケアに戻し、専門家としてのケアワーカーは全体のコントロールに専念する。一人一人の生活に入り込んでいくようなケアは、ボランティアを入れて協働していく。そうすることで、ケアワーカーの待遇を改善し、「一生の仕事」にすることが可能な条件を作っていけばよいという。その代わり、「やりがい」はある程度あきらめなくてはならない。
筆者は「仕事がやりがい」になってしまうことの危険性を強調する。「仕事は仕事」とクールに割り切って、プライベートの世界を持つことの重要性は、働いてみると「確かに」とうなずける。これは、今の職場では(仕事はぜんぜん過酷じゃないんだけど)いろんな人から言われている。ヤンキー文化云々のくだりはあんまりピンとこなかったけど、個人がいくつもの違った価値観の世界を持てることは大切だと思う*2
後半の相続の話もちょっと面白かったです。バイク便の本も読んでみようかな。

*1:「若者と主婦」が混在しているために待遇が改善されない、っていうのは、日本語教師の世界なんかもそうだって言いますね。

*2:いじめとかの問題を考える上でも多分大切。