ディズニーの魔法

ディズニーの魔法ディズニーの魔法
有馬 哲夫

新潮社 2003-11
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「白雪姫」「ピノキオ」「シンデレラ」といったディズニー版映画のストーリーが、原作の童話とどこがどう違うか、を記したトリビア本。そこが違うからどうなのか、という分析がされていないので全然楽しめなかった。
そもそも「夢は願い続ければ必ず叶う」という哲学をもって映画を生み出していく主体としての「ディズニー」がウォルト・ディズニー個人なのか、ウォルト・ディズニー・カンパニーという会社なのか、人々のイメージとしてのディズニーなのか、ということすら判然としていないし*1、「原作の童話」って言うのだって、童話には元来いろいろなバージョンがあるのを全て考慮するわけでもないし*2、なーんか本質に切り込んでる感じがしないのだ。
唯一分析らしくなっているのは「美女と野獣」がフェミニズム寓話になっているというくだりだが、これは映画そのものがかなり意図的に改変されている(フェミニズム寓話として作られている)可能性があるような気がするし、「シンデレラ」はじめ古典作品に対するフェミニズム批評にはもっと面白いものがあると思う。
あくまでトリビア本として読むしかないという感じで、不満が残った。アマゾンレビューで高評価なのが不思議。

*1:多分ディズニー個人とは考えていない。だからディズニーの死ぬ前と後での違いなども考慮されない。

*2:ちゃんと原語で読んでるのかも謎。