刑務所の風景

刑務所の風景―社会を見つめる刑務所モノグラフ刑務所の風景―社会を見つめる刑務所モノグラフ
浜井 浩一

日本評論社 2006-10
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年末年始は犯罪モノを読んでいました。
この本は、筆者が刑務所勤務時代の経験をもとに書いたもの。障害者・高齢者・外国人等の社会的弱者が刑務所に流れ込んでくる現状、過剰収容という状況下で治安を維持していくための運営など、全く知らなかった「塀の中の風景」が見られて面白い。
私達は裁判が終わって刑が確定したら終わりと思ってしまうけれど、受刑者にとってはそこからが始まりであり、出所して社会復帰してからが本当の再スタートになる。考えてみれば当たり前の話なのだが、刑務所が「更正し、復帰するための施設」であることすら忘れてしまいがちである。福祉施設や学校は受け入れる対象を選ぶことができるが、刑務所はそうではない。社会の治安悪化を防ぐには、厳罰化よりも福祉の充実が肝要であると筆者は説く。
内容的には新書『犯罪不安社会 誰もが不審者?』と重複する部分が多い。エッセンスは含まれているのでまずは新書の方がおすすめかな。