教育問題はなぜまちがって語られるのか?

教育問題はなぜまちがって語られるのか?―「わかったつもり」からの脱却 (どう考える?ニッポンの教育問題)教育問題はなぜまちがって語られるのか?―「わかったつもり」からの脱却 (どう考える?ニッポンの教育問題)
広田 照幸 伊藤 茂樹

日本図書センター 2010-09-16
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教育問題に限らず、情報を吟味して自分の頭で考えるためのステップを教えてくれる良書!高校ではこういうことを教えたい。トンデモ教育論や心理学ブームに対する批判も小気味よい。★★★★★。
今日はこのシリーズの創刊記念トークセッションが新宿紀伊国屋サザンシアターであり、先輩が整理券をくれた(棚ぼた!)ので行ってきました。パネリストは広田さん、伊藤さんと同シリーズの『人間失格?「罪」を犯した少年と社会をつなぐ』(今読んでる途中ですがこれも良書)の著者・土井隆義さんの3人。これは期待です。
話は刊行の意図というところから。読んで教育問題について知ってもらう本ではなく、それを出発点に考えてもらう本を作りたかったとのこと。ターゲットはまず高校生。知識は古びても「ものの見方」は役に立つ、そういう「考え方」の部分を身につけてほしいという意図があるそうです。
また、その親世代まで含めた一般向けに広く考えてもいて、それというのも地方分権化により地域の人達が自分たちで教育の在り方を決めなくてはならない時代に、ローカルなレベルでトンデモ論がはびこるのをなんとかしたいという思いがあるのだそう。
自分で批判的に考えられる人が例えば10人の中で1人から2人に増えるだけでも、世の中はだいぶん変わるハズ。だから100万部とは言わないまでも10万部ぐらい売れて欲しいとか(笑)。でも教育部門ではamazonでも上位の方にあるみたいですよ。
この「どう考える?ニッポンの教育問題」シリーズは全20巻を予定しているそう。上に掲げた1巻は総論的な「見方」を紹介した本だけど、2巻以降は各論。不登校、いじめといった身近なテーマからグローバル化、公共性といったマクロなテーマまで並ぶそうで、そんなん言われたら揃えて読まなきゃならんじゃないですかねぇ。学校の先生には教育社会学の本をもっと読んで欲しいとおっしゃってました。ちゃんとおこづかいで買ってますよ、センセイ!
というわけで、皆さんも是非お読みになってみてください。そしてトンデモ論に負けず生きやすい社会を作りましょう。