生き地獄天国

生き地獄天国―雨宮処凛自伝 (ちくま文庫)生き地獄天国―雨宮処凛自伝 (ちくま文庫)

筑摩書房 2007-12-10
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なんちゅーまじめな人か。凄惨ないじめ体験、自殺未遂、「世界に仲間外れにされている」と感じていた十代から、人形作りに出会い、サブカルや右翼の面白い人たちと出会い、「世界の当事者」になっていく。行動の振れ幅の大きさに驚くばかりだが、右も左もない、ただ自分の実感によって世界を掴みたいという悲痛なばかりのまっすぐな気持ちに思わず共感してしまう。
ビジュアル系バンドやオウム真理教右翼団体がこういう形で苦痛を抱えた人たちを救っていたんだ、というのが印象に残った。右翼の運動に没頭することで自分を支えていた彼女は、やがてそれが主義に依存しているにすぎないことに気づき、団体の運動から離れて自分の足で歩み始める。
「自分が動けば世界が変わる」ということがわかってからのワクワク感。そして現在の彼女の大活躍。文庫版で書き足された終章にも「ひきこもりを救った」とあるが、以前の彼女と同じような苦しみや違和感を抱えている人にとってこの本ほどの救いはないだろう。のほほんと生きてきた私でさえ、涙なしでは読めなかった。★★★★★。