教育と平等

教育と平等―大衆教育社会はいかに生成したか (中公新書)教育と平等―大衆教育社会はいかに生成したか (中公新書)
苅谷剛彦

中央公論新社 2009-06
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『大衆教育社会のゆくえ』の続編ともいえる本書。戦後教育における「平等」を考える切り口として、財政を通じた教育資源の配分に着目する。というこの発想からしてキタキタキター!という感じである。
戦後の義務教育が、逼迫した財政状況を背景に、生徒個人ではなく学級や地域を単位とした「面の平等」という形で進められたこと、結果として深刻な地域格差を解消するに至ったことを、豊富なデータによって実証していく。
システムの背後にはロジックがあり、ロジックの背後には人の意志がある。二分法的発想から脱して歴史を読み解こうとする姿勢が誠実。このレベルの研究が新書で(840円で!)読めるというのはすばらしい。実証の過程についていくのは地味で難しくてそれなりに大変だけど、がんばってあとがきまで読んでください。
苅谷先生、オックスフォードに行っちゃったんですよね。向こうではどんな研究をなさるのでしょう。
大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)
苅谷剛彦

中央公論社 1995-06
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