動物からの倫理学入門

動物からの倫理学入門動物からの倫理学入門
伊勢田哲治

名古屋大学出版会 2008-10-30
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これはすごい。すばらしい本です。動物という切り口から倫理学の全体像を手際よく提示してみせる。しかもやわらかい語り口で。高校生でもがんばれば読み通せるんじゃないかな。いやほんと、著者は相当アタマのいい人なんだと思う。
本書の後半では動物実験、肉食、野生動物保護といった具体的な問題をどう理論化できるか考えていくが、そもそも動物が倫理学の対象になるということを考えたことがなかったので、目からウロコだった。しかも論理的に考えていくとどうも種差別は容認できない=動物も配慮の対象になるという結論に落ち着かざるを得ないみたい…というのも衝撃的。確かに。私は奴隷制の時代に生きているのかーと感無量。ロジカルに議論を進めていくと自分の思いとは違う結論に辿りついてしまったりするこの感覚も、何ともいえない。
こういう本に出会えるのは読書の楽しみ。