手話の世界へ
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それから第三章のギャロデット大学(アメリカにあるろう者のための四年制大学)における学生の反乱の話も面白かった。ろうの学生達がろうの学長を要求し、勝利したという話。この中で、大勢の人たちが手話でおしゃべりしている中、それを理解できない筆者が「ここでは聴者こそが唖者だ」と感じる場面がある。これはかなり重要なポイントではないかと思っている。
昨日読んだ『累犯障害者』で紹介されている障害者の事例は、実は知的障害者と聴覚障害者が二本柱である。なぜこの二者なのかといえば、それは言葉や思考に関わるものだからではないだろうか。身体障害や視覚障害を持っている人も、基本的に日本で生まれ育てば母語は日本語。だから取り調べや裁判でのやりとりに困難が生じることは少ない。しかし知的障害や聴覚障害の場合は、その程度や生まれ育った状況によって、日本語での意思疎通が全くできないケースがありうる。そういう意味で、最も先鋭的な事例になりうるのかも知れない。