犯罪不安社会 誰もが「不審者」?

犯罪不安社会 誰もが「不審者」?犯罪不安社会 誰もが「不審者」?
浜井 浩一 芹沢 一也

光文社 2006-12-13
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統計上、日本の治安は悪化していない。にもかかわらずマスメディアによる報道の増加によって「治安が悪化している、犯罪が凶悪化している」という不安だけがあおられている。少年や性犯罪者を「怪物」として恐れるようになった社会は、コミュニティーというものへのノスタルジーとも相まって、不審者の排除と厳罰化の方向へと駆り立てられる。結果として刑務所は過剰収容に悩むことになるが、そこにあふれているのは凶悪な犯罪者などではなく、高齢者・障害者・外国人といった社会的弱者なのである。
「正しく統計を読めば、変に悲観的になる必要はない」と説く本は最近ではそれほど珍しくなくなってきた(よいことだ)。それに加えてこの本で述べられているのは。
まず宮崎勤事件(1988)、神戸連続児童殺傷事件(1997)、桶川ストーカー殺人事件(1999)、附属池田小児童殺傷事件(2001)、奈良女児誘拐殺人事件(2004)といった事件を契機に変化するマスコミの論調についての記述。そして、実際に刑務所勤務の経験を持つ浜井氏が描くセイフティーネットから漏れて刑務所に送られてきた受刑者たちの実情である。
先日、小学校の同級生と忘年会をした。数年前は飲んだ帰りに学校に忍び込んでブランコこいだりなんてことも出来たのに、今では門は閉じられ防犯設備でガッチリ固められてしまっていることをみんな残念がっていた。今、日本がどんどん不寛容な世の中になっていることは肌で感じる。この流れが根拠のない不安から来ているのだとすれば、社会にとってはマイナス。なんとか流れを変えられないものだろうかと思う。

http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/
↑この本を作った編集者のブログ。面白いので最近チェックしてます。
http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/entry-10022033872.html
↑最新の記事では「論座」1月号掲載の浜井浩一氏と山本譲司氏の対談が紹介されていてこれまた興味深いです。ぜひご一読を。