視覚言語の世界

視覚言語の世界視覚言語の世界
斉藤 くるみ

彩流社 2005-11
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大学院の時に一年間講義を受けた先生の著書、遅ればせながら改訂増補版で購入して読む。ろう者の手話はもちろんのこと、修道院や製材所で使われていた手話、アボリジニ、インディアンが使っていた手話などの「代替手話」を紹介。ろう者の手話が単なる身振りではなく一人前の「言語」として認められるべきものだということは、最近では常識になってきたかな、という感があるが、実は代替手話にもかなり言語の特性は見られるのだそうで、人間のコミュニケーションの本能が視覚言語においても発揮されることを述べる。
ろう者の言語としての手話を考えるにあたっては、従来のろう教育における迫害の歴史であるとか、障害・マイノリティーの問題がからんできて、かなり複雑。それはそれで考えなくてはならない問題だけど、しかしながら「視覚言語」というのを純粋に言語学的に考えるのも非常に面白い。「言葉」というものに興味がある人にはオススメの一冊。