生きながら火に焼かれて

生きながら火に焼かれて生きながら火に焼かれて
スアド Souad 松本 百合子

ソニーマガジンズ 2004-04
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以前単行本を立ち読みしたことがあった本。文庫化されていたので買ってみた。(画像が出なかったので上の情報は単行本のものです)
中東シスヨルダンのある村では女の子がひとりで歩いたり男性と目を合わせたりするだけで娼婦と見なされ、家の名誉を守るため家族によって処刑されることがあるのだという。筆者のスアドは十七歳で婚前交渉により妊娠したため義理の兄に火あぶりにされるが、奇跡的に命を救われた。その後ヨーロッパに渡り、結婚して幸せな生活を手に入れる。焼けただれた皮膚は元通りにならないけれど。
西洋近代的な文明を普遍的なものだと押しつけるのは違う気がする。だけど文化はそれぞれに尊重されるべきだという文化相対主義では、こういう非人道的な因習に対して手を出せない。放っておいていいものだとは思えないし…。
改めて読んだけどやっぱりすごい話だ。痛い痛いと思いつつ読むのをやめられないし、読んだら読んだで考えさせられる。文化とはいかに強力に人を縛るものか。うーん。