「かわいい」論

「かわいい」論 四方田 犬彦 筑摩書房 2006-01 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「枕草子」の清少納言の時代から、日本人は「かわいい」ものが大好き。小さいもの、幼いもの、保護を必要とするものへの愛情。同時に異性への媚態であり、失敗からの防衛手段でもあり。「美しい」とも「醜い」とも対義語たり得、「グロテスク」とも薄皮一枚へだてて境界を接する。語源探求やアンケート調査も交えて、「かわいい」を通時的・共時的観点から美学的に考察する。
文章に力みを感じてしまうところも少なくないですが、実際のところ意欲作だと思います。
ちなみに本文中に紹介されている「もえるるぶ」は大学時代のサークルの友人が企画して出した本。自分のことでもないのに自慢しますが(笑)。この本が出た時、友人達と「JTBも懐が深いねー」なんて言っていましたが、すっかり定着しているみたいで、2006年版も出ると本屋にポスターが貼ってありました。してみるとなかなかいい目の付け所だったんだな。