もてない男

もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)

もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)

「恋愛弱者」の立場から上野千鶴子批判をしている人だと聞いて面白そうだなーと思ったのだが、実際面白かった。姦通罪は男女平等に適用されるものとして復活させるべきである、とか。フェミニズムはもてない女から生まれた声ではない、とか。
結婚制度をかなり尊重している感じが(最近そうでない本を読むことが多かったので)ちょっと意外だった。三砂ちづるが結婚はもてない人の救済装置になると指摘していたのを思い出した。(彼女は制度自体にはこだわっていないし、恋愛についての立場も小谷野とはぜんぜん違うが)
文学から漫画まで射程の広いブックガイドが付いているのもうれしい。私は本を読まない物書きをあまり信用しないのだけど、そういう意味でも至極まっとう。自分の立ち位置を意識して書いている人だと思う。